Tao Log

研究/勉強/読書/映画/旅行

小林傳司「トランス・サイエンスの時代―科学技術と社会をつなぐ」

研究をする元気がなくて,今週末は積読を読みすすめることに...

トランス・サイエンスの時代―科学技術と社会をつなぐ (NTT出版ライブラリーレゾナント)

トランス・サイエンスの時代―科学技術と社会をつなぐ (NTT出版ライブラリーレゾナント)

科学の技術の発展とともに,科学技術と社会がどう関わって(関わってこなかった)のかについての話から始まり,科学技術が社会に深く入り込んでいる現代において,科学技術だけでは解答をすることができない課題について,科学工学と市民はどのように関わっていくべきなのかについての本です.

学部一年のときに「科学技術社会論」の授業を受けて,初めて科学と社会にあり方について研究する学問があることを知りました.その時はちゃんと受けていなくて,そこまで授業に積極的に参加していなかったのですが,いつか科学技術コミュニケーションについての授業をもう一度受けたいなと思っています(そういうことを,修論がある修士2年の今学期に思い出して,授業を取ろうと思ったのですが,さすがに今学期は厳しい...ということで本を読むことにしました)

せっかく読んだので,読んで頭に残った部分を忘れないうちにメモ.

ただしこの本は2007年出版なので,原発事故(2011)については触れられていません.2011年以降に出版されていたらどのような内容になっていたのでしょうか.気になります.

  • 各議題に対する人々の関わり方

「周辺的ルート処理」: 多くの人が支持(しているように見える)意見を支持.あの人がこう言っているから,という基準での支持.関心を持たないトピックに対してはこの手短な情報源からのみ当たって判断する方法を多くの人はとる

「中心ルート的処理」:研究者タイプ.情報を十分に集めたうえで判断する方法.有限時間を考慮すると,こちらの処理を行うことは,研究対象でもない限り,現実的ではない.

自身が専門ではない事柄に対して,市民がとる対応はほぼ前者.

  • 現在はトランス・サイエンスの時代

トランスサイエンス

科学技術が社会に深く関わるようになった結果,科学技術だけでは解を出せない新たな問題が発生している.

科学的問いを超えた判断が必要になっている.(遺伝子組み換え問題,原発問題など)

以前は科学は中立であり,科学を使う政策が科学を正しく使うか,悪く使うかの「科学の善用・悪用論」だった.トランスサイエンスの時代には科学は絶対的に中立ではない.科学で発生する問題も必ずしも科学で解決すべき問題ではない.モラトリアム的解(その科学技術を採用しない)という判断も含めた議論が必要になっている.

  • 啓蒙としての科学技術コミュニケーションから双方向の科学技術コミュニケーションの時代へ

以前の科学技術コミュニケーション: 科学者が市民に対して知識を「啓蒙」する欠如モデルだった.

市民(社会)が科学技術に対して思っていることについて科学は無知だった.科学技術だけでは解が出せないトピックについては市民参加型の科学技術コミュニケーションが重要になってくる(etc. コンセンサス会議)

  • 科学の不十分さと工学の現実での不確実性.

可能性を評価することは現実的に難しい問題がある.(etc. おこる確率のゼロとはいえない原発での重大事故の可能性の評価は難しい))

通常の製品であればリスクとベネフィットを鑑みて,安全性と確保する余裕を持った設計にするなどの解を選ぶ.

しかし,原発などのおこる可能性の低いが,おこったときの被害が甚大であるような事故の可能性の評価が非常に難しい.科学そのものでは答えが出せない.

  • 政府の「科学技術基本計画」

ここにも科学技術コミュニケーションが重要であることが書かれている.

  • 科学技術的には答えが出せない問いに対して,専門家が行うべきことは, 「科学が判断できること」と「トランスサイエンス(科学を超越している部分)」の線引きを示すこと

  • ポスト・ノーマルサイエンス:専門家の判断に委任することが問題解決に必ずしもつながらない領域

例えば,原子力発電,環境問題,遺伝子組み換え作物をめぐる問題など(= トランスサイエンスの領域) 科学領域だけでは解決しない問題.システムの不確実性が高い事象について発生する.

専門家でも議論が割れる事象について,どのように判断を下すべきなのか

  • コンセンサス会議

科学の立場で明確に解答を出せない領域の判断を科学者にだけ任せるのは???? ⇒パブリックを巻き込んだ公共空間の必要性

  • 必要なのはリスクコミュニケーションではない

科学で答えが出せないトピック(etc. 遺伝子組み換えの利用)について,重要になるのは,リスクコミュニケーション(安全性についての議論)ではなく,その技術が社会・人々の生き方に与える影響についての議論.

  • 科学技術のシビリアンコントロール

  • STS ( science, technology and society) 分野

  • トランスサイエンスの時代には,科学で答えが出せない問題に対しては,科学工学者だけが取り組むのではなく,人文社会学と理工系研究者の対話の促進が必要

  • 科学はその可能性とともんい限界も語る必要がある.

原発後の筆者の講演

行動経済学会第五回大会

パネルディスカッション「原発事故と行動経済学https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbef/4/0/4_0_20/_pdf/-char/ja


科学的な政策決定を行う官僚になるようなお友達には,ぜひこの分野について頭に入れておいてほしいなぁって思いました.

福岡伸一「世界は分けても分からない」

メモ.

世界は分けてもわからない (講談社現代新書)

世界は分けてもわからない (講談社現代新書)

事象を観察して理解しようとするときに,巨視的な視点から全体を理解しながらアプローチする方法と,部分に注目しながら理解していく方法がある.前者で見えるものと後者でみえるものは~みたいな話に関連するエピソードが書かれていた.

世界は分けないことにはわからない.しかし,分けてもほんとうにわかったことにはならない.

先生がエピソードごとにそういう異なる視点で物事を見る話を,授業中の休憩時間に先生が学生にする小話のトーンで書かれている本だなぁと思った.

  • 視線の話

人の視線をふと感じとることができるのはなぜか.カメラのフラッシュを焚いたときにおきる赤い目の現象のように,人の目は入ってきた光を少し反射する.その光かも?

  • 顕微鏡

倍率をあげてみえる範囲を絞ると,面積あたりの解像度はあがるけれども,入ってくる光の量が少なくなる(微視的).暗くなってしまう.細かい部分に注目しすぎると,その前に全体で見ていた時(巨視的)に見えていたものが見えなくなったりもする.

乳酸に似ているため,代謝反応の連鎖の中に入り込んで,代謝を阻害する.微生物の増殖が阻害されることで,食品の腐敗を防ぐことができる.

各種物質が人体に与える影響についての,実験環境(細胞単体に対しての.微視的)での評価の上で添加物は安全性を担保されているけれども,実環境で人間が暮らしている境界線のない世界で長期的に見た場合,実際のところどうなるのかはわからない(巨視的).便利さとリスクわかってね.

初期胚は各細胞が相互にコミュニケーションしながら分化していく.全体概要(地図)みたいなものに沿って分化していくわけではなくて,隣接細胞で相互コミュニケーションをとりながら方向性が決まっていく.(微視的)

ES細胞は未分化の細胞.細胞たちがコミュニケーションして分化していく段階に適切にES細胞を入れてやると,各種臓器に分化する.けど初期胚以外にES細胞をぶち込むと増殖が止まらずガン化する.(話がきけない子なので)ガンとES細胞紙一重

ところでES細胞ってエントリーシートみたいで,新卒の学生がさまざまなプロフェッショナルに分化していくみたいな妄想しちゃう.

  • 空見・空目

目の細胞の側方抑制.人工物を人間的に自然にかんじるための機能.

  • マークスペクターの研究不正

ガン化の発生経路に関する研究に際し起きた大スキャンダル研究不正.昔研究倫理の講習で受けた気がするけど,小保方事件のほうが印象的すぎて覚えてなかった.

どこにもさらっと不正をしちゃう人はいるんだなぁというのと,現在の研究は性善説を基にして研究がおこなわれてるけど,それが正しいのかどうか...不正を証明するために必要になる労力がでかすぎるから,現実的には性善説を信じるしかないんだろうけど.

*

先週読んだ論文(2019/9/23~9/30)

いつもは,読んだ論文はGoogle keepにタグをつけて保存しています.書いたり書かなかったり,リンクを保存しておくだけで振り返ることもあまりないので,備忘録用に気が向いたときにまとめてみることにしました.

先週は光切断(structured-light)の論文を調べていました. 日本語で光切断法(light-section method)を調べるときには,英語の論文だとstructured lightと表現していることのほうが多いので注意が必要です.

鋳物の成型してるときの表面の形状検査用3次元計測手法の提案.based on 光切断.

レーザon-offして背景差分をとることでレーザ抽出.レーザ由来の緑波長を抽出するフィルタ使用.

  • A novel laser vision sensor for weld line detection on wall-climbing robot

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0030399214000061

赤のレーザ使用.緑or 青の輝度値との差が大きいやつを赤のレーザ由来として検出する.

  • Towards an Underwater 3D Laser Scanning System for Mobile Mapping

http://icra-2019-uwroboticsperception.ge.issia.cnr.it/assets/ICRA19-WS-URP-CameraReadySubmissions/ICRA19-WS-URP-Paper-14.pdf

gray scaleで曲線抽出をして,その中で輝度の高いやつをラインレーザとして抽出

交換留学経験あり+日本帰国済理系学生がボスキャリいく必要はあるか話

私は,2020卒の修士学生(工学系)です.研究はcomputer visionに関することをしています. 2020卒向けの就活もずいぶん前に終わり,無事希望の企業から内々定をいただくことができました.

今は時間もあるので,就活の振り返りをしようかなと思い,2018年のボストンキャリアフォーラムに参加した話を振り返りたいと思います. 理系修士の友達でボスキャリに行った人があまりいなかったので,同様のことを考えている後輩の人の参考になればと思っています.需要があるのかわからないですが ....(ボスキャリで内定をもらう秘訣!みたいな内容ではなくて,理系のメーカ志望の学生がボスキャリにくるとどうなるのかという観点から記事をかいています)

まとめ

最初に私がボスキャリにいった所感をまとめます.

製造業メーカ(ex.自動車・総合電機)の研究開発職を狙うような交換留学経験有の国内大学の理系学生にとってボスキャリはメリットがないので,おすすめできないです.学科の推薦を使うか,冬のインターンの選考をがんばったほうがよいと思います. 会社を問わないで早期に内定をもらって,就活を終わらせたい理系学生にとっては,とてもよいと思います.BtoBで名前は有名ではないけれど,その界隈では有名な企業が来ているので. コンサル・金融とまだ迷ってて,考える機会にしたい人にとってもよいと思います.

旅行感覚でボストンに行き,旅行ついでに早めの就活をするというスタンスでいくとがっかりせずに済むと思います.私は,最終的にボスキャリ経由では,最終的なところまで話を進めた企業はなかったですが,どういう企業・どういう雰囲気の企業・どういう業種がよいのか,を早めに考え始めるきっかけになったので,ボスキャリに行ったこと自体は後悔していません.

またESの書き方についても早くから練習するきっかけになったので,その点でも行くことに決めてよかったと思います.

以下,ボスキャリにいった経緯をつらつらと書きます.

ボストンキャリアフォーラムとは

ボストンキャリアフォーラムとは,毎年ボストンで開催されている海外大学に留学している日本人学生向けの就活イベントです.(以下ボスキャリ) 主な対象者は海外の大学・大学院に正規留学している学生ですが,交換留学や語学留学・帰国子女の学生も参加しています. (中には,海外経験が一切にない人も,期間中に内定がでる便利なイベントとして内定をもらいにきている人もいました.)

私の留学経験

アメリカのカリフォルニア州の大学に,大学の交換留学制度を使用して,学部4年生のときに10か月留学していました.(つまり,2018年のボスキャリの1年以上前に留学を終了していた) その留学は通常の授業をひたすら授業をとる形で,研究などは行っていませんでした. 留学動機としては,長期で留学をしたことがなかったので,英語だけに囲まれる環境に身を置いて英語力を向上させることと,修士での自分の専攻を見つめなおすことなどがありました. 最終的に留学を通して,修士での所属研究室を変える一つのきっかけにすることができました.

私のボスキャリストーリ

かなり直前に参加を決めたので,準備が悪いボスキャリ参加者だと思います.

参加1か月前

そういえば自分が留学していたことを思い出し,ボスキャリの日程を調べる.1か月前であることに気づきました. そこから友達・先輩のボスキャリ経験者に様子を聞きました.宿をすぐにとらなければいけないことと,飛行機を急いでとらなければということを理解しました.

理系の製造業志望の学生がボスキャリに行って意味があるのか悩み始めました.しかし,ボスキャリ,行っても行かなくても後悔するなら,行って後悔したほうがよいと判断し,とりあえず行くことに決めました.まずは,友人のボストン在住の人を探し始めて,泊めてもらえないかお願いをしました(もう宿がなかったので,友達に頼ることに...)

応募する企業の選定をはじめ,レジュメを作り始めました.同時に,友人のレジュメを参考のために集めはじめました.

参加2週間前

ぼちぼちスカイプ面接やESの提出を合間に行っていました.レジュメをインド人の友達に見てもらったりしていたくらいで,ほとんど準備せず....

開催中

1,2日目の夜は内々定をもらったメーカの食事会に参加していました.ボスキャリに参加している時点で留学している学生が大半でした.「わざわざ日本からきたの?!」って何回も言われました.「間違ったかな?笑」ってこのころからちょっと思い始めました笑

一日に何件もの面接をして頭が疲れたのと,時差ボケでまじで眠かったです.

アメリカのsimを指していたのですが,留守番電話の設定がうまくいってなくて,電話をとれなかった企業が何件かありました.留守番電話の設定を確認しておきましょう.

応募した企業業種と結果

  • 戦略コンサル⇒適性検査落ち
  • 機械系メーカ研究開発⇒内々定(あと一度日本で面接したら内定だった)
  • 部品メーカ×2⇒内々定
  • 半導体研究開発⇒内々定
  • 外資FAメーカ⇒アプリケーションエンジニアのみなのでと断られる
  • 外資自動車サプライヤ⇒面接後あとで連絡すると言われサイレントかと思いきや,半年後に連絡がくる

理系製造業志望でボスキャリを検討している人への結論

年々,自動車大手や総合電機メーカ,重工業系の出展数は年々減っているようです(数少ない重工系の会社の人事の人もそういっていました).特に2018年は自動車関連で確認できた企業はサプライヤのみでした.また大体の企業は,2018年のボスキャリでは,2019年3月卒業や8月卒業の学生の採用を行っているところが多かったです.そのため,私のような2年後の2020年3月卒は対象外の企業が多く,興味がある会社で,そもそもESを応募できたのはごく一部の会社でした.

また,日本での研究開発職を募集しにボスキャリにきている企業は少ないです.理由としては,日本の企業が日本での研究開発職を募集する機会としては,大学経由の推薦を使ったほうが効率がいいからなのではないかと思います.

外資アメリカ本社)の企業なども来ていましたが,募集している職種が日本でのアプリケーションエンジニア(開発ではなくユーザのサポートとしてのエンジニア)での募集が主でした.私はどちらかというと研究よりの開発に行きたかったので,そういったところには出しませんでした.

総括としては,技術職(特に研究開発)を考えていて,希望の会社の大半が日本で普通に募集をしていて,かつ自分がその就活の時期に日本にのであれば,ボスキャリに行く必要はないと思います.そんなんボスキャリに行かなくても分かるわい,って感じですが,行ったらいったで,向こうで友達ができたり,久しぶりの友達に会えたり観光できたりしたので,楽しむ分には行っていいんじゃないかと思います.

hdd mount memo

つながっているディスクの確認

 sudo mount -t ntfs /dev/sdc2 /media/usrname/my_hdd/

常にマウントするようにする

# /etc/fstabを編集
/dev/sdc2/ /media/usrname/my_hdd ntfs defaults 0 0

<file system> <format type> <dump> <pass読みだす順番> https://help.ubuntu.com/community/Fstab

多焦点テンソル Multi-focal Tensor

多視点画像における幾何拘束を利用して,画像間の対応点検索をより効率的に行うプログラムを書いてみようと思ったので,調べた.

どの参考書がよかったかをまとめた.

Multiple View Geoetry in Computer Vision

Multiple View Geometry in Computer Vision

有名だと思いますが,この本が一番詳しく書いてあった.実際にどう使うか,実装のときにはどういうアルゴリズムを使うのか,まで. しかし,ある程度のバックグラウンド知識が読む上では必要.

コンピュータビジョン最先端ガイドブック

コンピュータビジョン最先端ガイド1[CVIMチュートリアルシリーズ]

4章の「テンソルと多視点幾何」に記載. 多視点幾何では,物理分野でよく見かけるテンソル表記を使ったほうがイメージがしやすいということでテンソル表記が使用されている. 多視点幾何の説明に入る前に,テンソル表記の説明が書いてあるので,テンソル表記になじみがない人はそこを理解したうえで読み進められる.

量はそこまで多くないので,Multiple View Geoemetryに入る前にこの教科書で概要を理解してから,Multiple View Geometryに入ったほうが,理解が深まりやすいと思った.

XXX

https://www.inf.ethz.ch/personal/pomarc/pubs/ThirthalaIJCVsubm2.pdf

English expression for articles

ほかの論文で見かけて、同じ表現にあきたときとかに使える表現だと思った表現まとめ.

逐次アップデート.

Introduction & Related works

以前の手法の欠点の話をするとき

  • ...., but it is still prone to errors. So ....
  • To remedy ( the problem in the previous methods or current situation), .....
  • a drawback of this method ....,

Method

Experiment

  • We performed our experimentation on ( data ) ....

Result and Discussions

  • We look at performance of ....

general

  • Concretely. 具体例を出したいとき, for example, for instance以外に

  • spanning ~ : ~にわたって ex. spanning the entire collection, spanning several years.

  • aforementioned: 前述の (あいまいだからんまり使わないほうがいいかもだけど)